壁体内結露の状態とは?
壁体内結露の状態を知らない人がいる
<壁体内結露の定義>
建物の内壁側と外壁側の温度差により、空気中の水蒸気が、壁の内部の部材を湿らせる現象をいう。
よく「壁の内部がびしょびしょに濡れること」を、壁体内結露だと思っている人がいます。
”結露”という文言が使われているせいでしょう。
結露と聞くと、一般の人たちのイメージするものは、下記のような現象でしょうか。
例えば、暑い夏場に、ガラスコップに冷たいお茶を入れたら、ガラスコップの外側に水滴が付く結露が起こります。
あるいは、寒い冬場、室内暖房をしていた部屋のガラス窓に、水滴が付いて結露が起こります。
上記の結露はどれもびしょ濡れですので、きっと壁体内結露の場合も、壁の中が、びしょ濡れになっていると想像するのだと思われます。
もし、実際に壁の中がびしょ濡れになっていたら… それは、単なる雨漏りにすぎません。
建物の材木の含水率は何%か?
建物に使われる材木は、含水率が20%を超えると、腐朽菌が発生します。
そして、ゆっくりゆっくりと、材木を腐らせていきます。
壁体内結露というのは、壁体内の材木が、含水率20%を超え、腐朽菌が活動し始める含水率に至ることを言います。
材木というのは、水分を吸収しますので、決して、壁の中が、水でびしょ濡れになっているわけではありません。
含水率が20%を超えて、腐朽菌が活動し始めたら、材木が腐っていくことで、建物の耐震性能にも影響してきます。
空気中の水蒸気は、耐水合板をも通り抜けます。
耐水合板(材木)というのは、空気を通さないわけではありません。
そのため、例え、隙間がない密閉性の高い建物であっても、完全に壁体内結露を防ぐことは難しいです。
建物の教科書は、『ビニールシートで空気中の水蒸気をカットしてしまう』ように教えていますが、このような細工程度では、壁体内結露を防止することは不可能です。